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カンニングOKの高校

  • 2006/03/18 02:08
  • カテゴリー:教育

先日、雑誌を読んでいて面白い記事を見つけました。

アメリカの高校での試験の話。
その高校の試験ではカンニングOKとしている、との記事です。
試験問題について、Webで調べようと誰かと相談しようと、どんな手段を使っても(法律の範囲内であれば)よいというものです。

解答は一律の模範解答があるというものではなく、世の中の様々な問題解決と同様に、複数の回答例があるような設題になってる。
この問題を解く為に、誰かに相談してアイデアを引き出すも良し、Webなどを使って自分でじっくり考えても良いというもの。
解答の添削は、その内容とスピードで評価されるようです。

この記事を読んで、これこそ実社会で使い物になるための教育であると思ったのでした。

別の雑誌の記事にはIBMの話が書かれており、これも強い興味を抱きました。
その記事というのは、IBMでは世界中の支社支店で統一されたスキルチェックシートを使っているとの事で、各国の新入社員の点数について書かれていました。
日本IBMの新卒新入社員の平均点は5段階評価でほとんどが1や2ばかりで、すぐには戦力とならないのに反して、アメリカやイスラエルの新卒新入社員は平均して3前後のポイントがついておりすぐにでも業務で戦力となっている、とのこと。
学校卒業段階で、既に、3年程度の差がついているのです。

最初に紹介した考え方の学校教育のあり方にも、このあたりの話は強く影響している様に思えるのです。

今後迎える少子高齢化社会では、絶対的にヒトの質を高めていかねば、勝ち残れない。
この国の高い賃金水準を維持していく為には、一人ひとりの精度を絶対的に高めていくしかないわけです。
でなければ、大勢の安い賃金の圧倒的パワーで勝負している中国に呑み込まれてしまうでしょう。

15年前、高齢化社会と巨大な福祉に喘いでいた北欧諸国は、教育制度を抜本的に見直すことによって今日の経済成長を獲得しています。
今現在では、世界の競争力ランキングの上位10位には北欧諸国が4ヵ国も入っているのですから驚きだ。

携帯端末の最大手のノキアをはじめ、エリクソン、ダニスコ、エレクトロラクスなども北欧諸国の企業です。
そのノキアの売り上げの99%は、なんと海外の売り上げだそうな。
たった500万人余りのフィンランドでは、世界で勝負ができないと自国だけでは市場が狭すぎて企業規模に限界があるわけです。
デファクトスタンダードに従うのか、あるいは世界標準を自らが作るのか?の二者択一で世界に打って出るしかないのです。

15年前の北欧諸国は、ちょうど、今の日本と似ていると思うのです。
たいした資源も無く、ヨーロッパの端っこの北欧諸国は人口も数百万人規模の国が多い。
(似ているというより、日本の一地方レベルの規模ですね。)

では、その教育制度改革とはどんなものだったのでしょう?

まず、フィンランドでは、小学校1年生からコンピュータを使った授業を導入し、授業自体もフィンランド語ではなく英語で行われるものが多いとか。
日本よりもちょっと狭い国土に、兵庫県よりも少ない人口。
しかもその狭い土地のほとんどが北極圏に位置するフィンランドでは、世界で通用する人材の為の教育が初等教育からなされているのです。

デンマークでは、教師がTeachすることをやめたそうな。
明快な答えがない時代では、答えを教えるTeachではなく、答えを導き出す方法を学ぶ、Learnが必要だというのだ。

この方法は教える側にも高い能力が求められる。
画一的な模範解答が記載されているものだけに丸をつければ良いという、機械的なこれまでの教育手法が役に立たないからだ。
高いコミュニケーション能力を求められる上に、問題の本質を見極める論理的な思考も必要である。
これらは訓練によってのみ身につくものであり、教わって知るものではない。

小児教育の段階では知識の蓄積も必要なのだが、読み書きそろばんがある程度できる段階に入ったら、考え方を変えるべきだ。
答えを教えるだけでよい時代は、すでに終わった。
日本の高等教育でも、答えを導きだす方法を身につけさせる教育をしなければならない。
そうしないといつまで経っても実社会と学校社会の溝は埋まらない。
卒業した段階でゼロクリアーの状況は変らないわけだ。
(卒業した段階でゼロでは何のための教育なのだろーか?)

さらに日本の現状を。
いまだにこの国では、文部科学省の学習指導要綱のもとに、旧態然とした丸暗記教育が続けられている。
IT教育とは名ばかりの、メールやWeb閲覧を教える程度の低レベルなIT教育。(教える側が訓練を受けていないのでどーしよーもない)

現行法ではリストラされない地方公務員である教職員は、地方によっては人が余っている。(財政を圧迫している。)
しかも、教育指導要綱にがんじがらめになりながら最前線で試行錯誤を繰り返す教師の内の15%が心身症、というデータすらある。

この国にとって、今、最も必要な緊急かつ重要な課題は郵政民営化でも医療制度改革でもなく、教育制度改革だと私は思います。

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値切りは半額に、値上げは3倍に

表題の「値切りは半額に、値上げは3倍に」という言葉ですが、これは故松下幸之助氏の言葉です。
なにを乱暴な、と思った方もいらっしゃるかと思いますが、非常に思いやりに満ちた言葉だという解釈があります。

最近読んだある本の著者による解釈は下記の通り。
値切ることを考えた時に1割や2割程度を値切った場合、相手はその程度なら、闇雲にがんばる事によって、もしかするとカバーできてしまう範囲なのかもしれない。
もし、そうなら、それはお互いの為にならない。
(一方の犠牲の上に成り立つ取引になる。)

半値まで値切られた場合を考えてみる。
当然、今までのやり方では利益は出るはずが無い。
従って、根本的な見直しを図るほか無い、というのだ。
アインシュタインもライト兄弟も、非常識な事の実現を考えることによって、結果として世の中を前進させることに成功した。

100mを移動するのに10.00秒かかるものを、日々努力を重ねて1/10秒とか1/100秒縮めることはオリンピックでは有効だが、ビジネスの世界では有効ではない、と著者は言う。
自動車や飛行機を発明した方がビジネスの世界では有効だと、この著者はいうのだ。(私もごもっともだと思う。)

松下から半値に値切られた部品加工工場は、その内の何割かは倒産してしまったかもしれないが、何社かは根本的な見直しによって、倍の生産性を実現する。
結果、その部品工場の為にもなるし、松下の為にもなると言うのだ。

値上げについても同じ事がいえる。
1割や2割程度値上げしたところで、そんな微々たる金額では品質を明らかに変えるのは非常に困難。
で、あれば、3倍に値上げして、その商品を売る対象(マーケット)から製品の品質、販売方法に至るまで根本的に考え直し、売る事を考えるべし、というのだ。
(まさしくソアラをマイナーチェンジして大成功している、トヨタのレクサスの話のようです。)

久しぶりに「うーん」と唸る一冊でした。
目次から抜粋した項目は下記の通り。
・晴れた日にこそ傘をさせ
・彼氏は彼女がいる人の中から選べ
・残業をやめれば給料は増える

「千円札は拾うな」サンマーク出版
安田佳生 著  <(株)ワイキューブ代表>

読みやすく、わかりやすい表現で書かれているので、2時間程度で読みきれてしまいます。
私はこの本の全てを肯定するわけではありませんが、とても参考になる、お勧めの本だと思います。

千円札は拾うな。
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