記事一覧

なぜ今、円高?

最近、円高が続いていますね。
一時期円高続きで、その後、ちゃぶちゃぶした変化のない期間だなと思っていたら、先週あたりからまた円高になっているようです。
なんて書いている間に、つい先程、ここ1ヶ月半での最安値(円高)
を記録しましたねー。(1US$=\88.349)

さて、円高の理由は?
今現在の円高の理由を明確に答えられる人っていないのではないでしょうか?
様々な要素が複雑に絡み合っているので、どれか一つが大きな理由という事ではないと思うのです。
昔の「Japan as No1 !」と言っていた頃の、強い日本経済が円高の理由ではありません。

ジャパン・アズ・ナンバーワン―それからどうなった (未来ブックシリーズ)
エズラ・F. ヴォーゲル バーナード クリッシャー
たちばな出版
売り上げランキング: 245962

経済は元気なく、不況は長期に渡っている。
財政は大赤字であり、現政権はさらなる大きな赤字を予定している。
日本国債は増発され、日銀による自国国債の買い取りという禁じ手に手を出したのも、先進国では日本が最初。
そして引き続きの超低金利。(これはこれ以上下げようがない状態がずっと続いているだけな訳だが。。。)

これらはすべーて、円安になる要素です。
しかし、現実に市場は円高になっている。なんで?

日本市場の株安を理由に挙げる人がいますが、これは逆。
円高になることによって輸出産業の占める割合の高い国の株式市場は下落する。
以前の日本はそういう状況だったかもしれないが、今現在は輸出に頼る部分はかなり減ってきているし、それ以前に円高先行ではなく、株安先行で、その後、円高になっているので順序が逆です。

リーマンショック以降、世界不況に陥っていて、その中で消去法で選んだ時に残ったのが日本だから。。。
んー。なんとなく説得力があるような気もする。
スイスフランやイギリスポンドなんか、紙くず寸前だし。

でも、米国の成長率の方が高いですよね?日本より。
そんなドルが安くて、何で円ばっかりが高いの?

なんで?なんで?
今日は、そんな話。(一つの仮説。原因の一つ、と思う。)

中国と米国は急速に近づいています。
オバマ氏の中国訪問はもとより、最近の米国の中国に対する発言は明らかにトーンが変わっています。
人権無視、著作権無視の何でもありの中国に対して、厳しい姿勢をみせていたのは過去の話で、今や米国は中国のご機嫌をとる有様。

以前のメールで世界のデフレを作りだしているのは、安い中国元を背景に世界中に安価な製品群をばら撒いてきたことが大きな原因と書きました。
でも、それは後進国が皆、進んでいく道であり、日本も同じことをして、経済的な力をつけてきた。
1ドル360円の固定レートでどれだけ、日本は世界中に日本製品を売り込んできたか?
しかし、その後、308円、260円などの時期を経て、変動為替相場制に移行してきた。

今の中国は1ドル360円の固定相場を継続し続けているのと同じだと思うのは私だけではないでしょう。
正当な競争とする為には中国元を切り上げて、元高にしていかないと、バランスは取れません。
もちろん、元米国大統領のブッシュ氏も、元の切り上げについては再三に渡り要求をしてきた。
しかし、最近はそんな要求も、とんと聞かなくなった。

だって、米国債の最大引き受け国は中国ですもんね。
いまや、ドルの首根っこをつかんでいるのは中国です。
中国が米国債を売りに出せば、一気にドルは暴落する。
基軸通貨の地位が揺らぐと、米国経済の根幹が揺らぐことになる。

そんな米国債の最大のお得意様に、あれこれ要求はしづらい。
したたかな中国の政策。
(日本が最大のお得意様だった頃は、属国扱いでたいして気を使ってはくれなかったのに、中国が相手だとぜんぜん対応が違う。そこは完全に中国と日本の政治力の違いでしょうね。)

最大規模の財政赤字を見込んでいる米国。
当然、ドルは安くなる。
中国元はあいかわらず、安いまま。
こちらはまだ固定相場制なので、当事者同士がそれでよいとすればレートは変わらない。
(仲良し二人組みは揃って、通貨安の中、力を貯めている。暴落は困るが、静かな自国通貨安は歓迎される。)

さて、ドル安と元安が同時発生するとどうなるのか?

周辺国が割を食う事になる。
通貨の安いとか高いというのは、それ自体の価値というものはなく、他の通貨と比べて高いか?安いか?を言っているだけ。
(今の通貨なんて金本位制でもないし、以前の香港ドルのように米ドルに裏付けされた通貨ということもない。各国通貨は持ち合われることによって、運命共同体的な安定を目指す。単に価値があると信じられているだけの紙くずに等しい。今後、自国の中央銀行による国債買いなどが進んでいくと、全世界通貨の同時下落=世界インフレの発生の可能性も出てくる。閑話休題。)

米ドルと中国元の同時安の話に戻ろう。
んで、比べる相手は周辺国で国際市場で流動性のある通貨となると、それは円しかない。
(EUは地球の裏側です。ユーロは米ドルに対しても上昇しているが。)

中国のしたたかな政治手法を少しは見習わないと、本当にこの国は沈んでしまいます。
割を食っているのは日本です。。。
自国の国債は他国には売れず、円の独歩高は続いていく。
それでいて、ユーロの様に第二の基軸通貨とは到底なりえない日本円。
友愛も大事ではあるのだけど、国際政治は友愛では生き抜けないのだ。