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カダフィが殺されて変わるもの変わらないもの

シリアのカダフィ大佐が殺害された。
容疑は何?なんて、野暮なことは聞かない。
挙げようと思えばきりが無いだろうし。

また一つ、世界の警察官の勝手気ままで一つの政権が消えた。
属人的な独裁国家であっても国は国だ。

ところで、彼らシリア人の未来は本当にバラ色なのだろうか?
そんなこたーない。
周辺の国々の状態を見ても一目瞭然だ。
古くはコンゴ然り、ソマリア然り、最近ではチュニジアにしてもエジプトにしても、欧米的な民主主義政治になってない。
暴君が消えた後、次の君主が現れなければ、部族間闘争、言い換えれば内戦に繋がるだけだ。
昔も今もその有り様は変わらない。

モブツがいなくなったコンゴは幸せになったのか?
独裁者バーレをソマリアから追放したアイディードは、その後、国連平和維持軍に宣戦布告することになる。
サダムフセイン無き後のイラク国民は、抑圧は無いかもしれないが、貧困と混沌とした国家に翻弄されている。

昔と違うのはTwitterやFacebookなどの市民同士の横の連携があること。
しかし、それだけでは近代国家建設には結びつかない。

近代的な民主主義が成立するには「公共の福祉のために自分の権利が抑制されることを理解する」ことが必要だ。
自分の一族郎党が満ち足りた後、他の部族にまわすという考え方とは、根本的に違うのだ。

目の前に山と唸る食糧や財宝があったとしても、自分の取り分以外は取ってはいけないという簡単なルールが守れないと民主主義社会は成立しない。
おらが村の利益代表を国会議員に担ぎ上げるのが近代民主主義政治ではないのだ。
その意味ではアラブアフリカ諸国だけでなく、この日本という国も民主主義政治を標榜したお芝居に過ぎない。

なぜ、お芝居なのか?

民主主義という考え方は中世の封建時代の抑圧政治との対峙によって生まれた。
彼らは圧制の元凶である国王を城から引きずり出し、綺麗なドレスをまとった王女の首を刎ねた。
自ら命を懸けて獲得した自由。

翻って日本を見てみる。
この国にも封建時代はあったし、自ら帝政を打倒し民主主義国家を設立している。
でも、それって、少し特殊だ。
日本の場合は、他国と違い、一部の侍によるクーデターに過ぎない。
国民による帝政打倒の革命というよりも、一部の知識層による政権奪取だ。

元々恵まれていたのかもしれない。
自国の農民に対して「百姓と胡麻は搾れば搾るほど出る」と言った君主がいたらしいが、世界に悪名を残す程の暴君は生まれなかった。
一揆や打ちこわしがあった事はあったが、それが長い内戦に繋がる程ではなかった。
殺し合いをして勝ち取る程は、追い詰められていなかった。
黒船を見て、このままでは欧米列強にやられてしまう!という危機感から近代国家を築くことになったのがこの国だ。

幸か不幸かそんな歴史を持つこの国。
有史以来、初めて征服されたのが、ついこないだの昭和時代。

広島、長崎、沖縄では非戦闘員が数万人規模で焼き殺された。
その内の数%の人は、爆発の瞬間に痛みすらなく蒸発したが、またある者は、数十年間被爆した体に苦しめられた挙句に亡くなった。
東京大空襲でも10万人以上が死傷した。

焦土と化したこの国に近代民主主義を植えつけるという大義名分に巨大な実験計画が実施される。
「親米であること」をルールとして国家復興実験がGHQによって行われた。

国家を作り上げるのは、まずは教育。
これをGHQは一手に担い、戦後の日本を作っていく。
国家の柱である憲法も作り直させる。

その成果は素晴らしい♪

元々素直な国民性があるのかもしれないが、親兄弟を焼き殺された国民は、そのほんの半世紀後には「アメリカ大好きー♪」「コーラもマックも大好き~!」「ポテトなんて腰振りながらムーンウォークしながら食べちゃうよ~♪」と踊っている。

わずか数十年前にアメリカという国と殺しあったことを知らない若者までいるというのは驚愕だ。
彼から2世代遡ったら、生々しい戦争の記憶が蘇るに違いないのだが。

獰猛さは影を潜め、従順な真面目な国が出来上がる。
(設定のやや違うもう一つの実験国家「韓国」とはまた違った国が出来上がった。)

かつての日本人を知る近隣諸国は少しでも軍備増強等を図ると、日本人の野望を恐れる。
しかし、かつての日本人は、既にこの国にはいない。
当の日本人が、何故、近隣諸国はそれ程までにナーバスになるのか判らない、という程までに変わってしまった。

やがて、経済力では戦勝国をも凌ぐようになった。

精神構造はGHQから教わったそのままに、だ。
人に例えると巨大な幼児のようなものだろう。
(精神構造=「戦争は悪」「人類はみな兄弟」「赤は敵」???)

自国の領土をミサイルが横切っても驚くだけ。
領土が盗られそうになって「国連に訴えてやる」とか叫んでも、国際社会はどっちらけ。

国連なんて、いまや常任理事国に私物化されていて、誰も世界世論を反映しているなんて考えていない。
国連軍の空爆とNATO軍の空爆など、今やいくばくの違いも無い。

その割には「海兵隊はグアムに移設して欲しい」って本当なの?
本気でそう思っているの?
「あんたたち、米国に守ってもらうんでしょ?違うの?」って、声が聞こえる。
陸海軍と海兵隊の違いもわかって言っているのだろうか?

ここ最近はすでに、国としての体を成していない。

TPPは是か非か?なんて、答えられる人はいない。
TPP自体が良いものでも悪いものでもないから。

TPPに参加するなら、きちんと日本の農業政策についての展望をまとめて、それに則って参加しないと膨大な損失を被ることになることは確かだ。
膨大な損失を超えて、国家存亡にかかわる可能性も十分にある。

参加するなら、農協を解体して、農業用地政策を整備して、近代組織農業をこの国に根付かせて、それからTPPに参加しないと、この国は大変なことになるだろう。
(根本的な解決策を置いたまま「早めに参加しないと主導権が・・・」とか「一度、席に着いたら抜けられない・・・」などと阿呆なことを言わないで欲しい。)

国土の狭いこの国は、1世帯あたりの耕作面積は狭い。
その中で商品価値を高めてきたものの、既存利益を守るばかりで国際競争力をなくしてきた。
どうするか?

農業に先端の人達が集まるようにしないと国際競争力は得られない。
最先端のバイオ技術を研究する研究者達がこぞって参加する「株式会社 農家」を作らないと駄目。
週休二日でもなく、夏休みもない業種には、人なんて集まらない。

なぜ、それができないのか?

農地の売買がほとんど活性化されていないから。
耕作面積の少ない日本で、後生大事に先祖伝来の土地を抱え込んでいるから、日本の農家は駄目になる。
有効活用する知恵のある人に活用してもらわないと、社会にとっての害になる。

あなたの先祖が開拓した土地なのかもしれないが、あなたが有効活用する術を持たないなら、その土地は手放さなければならない。
それが国全体の利益だから。(もちろん土地を手放すことで、適正な対価を得られるべきだが。)

農地を一般企業に活用させて、農業人口を適正化する。
一大バイオ産業を育てて、農業を工業化するというのも良いかもしれない。
キノコのホクトの工場みたいな建物からレタスが大量に出荷されたら楽しくないだろうか?
そうなれば、新卒の就職ランキングで農業関連の会社が1社もベスト10に出てこないなんていうおかしな状況を改善できるだろう。
(最近は、JR九州が農業に力を入れている。)

それができると日本の農業にも国際競争力が生まれてくるので、その後、考えましょうね。TPPは。

尖閣諸島の問題は、尖閣諸島内に国境警備隊を常駐させることが必要。
無人島にしておくのが、事態をややこしくする原因。
住んでいれば、誰も勝手に盗る事はできないし、何かが起きてもすぐに気付く。
日米同盟のあるアメリカだって、無人島が占拠されても知らん振りだろうけど、国民の血が流れれば捨てて置く訳には行かなくなる。
すぐにできそうに思うのは素人考えだろうか?
埼玉県の個人の所有なんかにしていないで、コーストガードの基地を作るべし。って。
(国が借り上げているなら、なおさら簡単にできないのかな?)

これまで日本は膨大な資金を、産油国であるシリアにつぎ込んできた。
シリアの次の政権へのパイプ獲得競争は、遠の昔に始まっている。
日本はレースに参加しているのだろうか?

ここ数年、ギシギシと音が聞こえる。
この国が壊れていく音でなければよいのだが。

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コメント一覧

鈴木規之 Eメール URL 2011年10月26日(水)10時12分 編集・削除

世界は、激動していますね。

日本の真の戦後復興のゴールは『憲法改正』
でしょう。

TPPは、菅政権以前からの宿題です。政治的に停滞
しているだけで、先送りにされています。

業界の意見は、賛否両論ですが、日本は『国益』を
守りながら交渉の席に着くのが経済大国・輸出貿易
立国としては当然だと思います。まったなし!

政治家の反対声明のアリバイ作りしか思えない。残念。

ぢぢいの独り言管理人 Eメール URL 2011年10月27日(木)17時09分 編集・削除

鈴木先生。いつも貴重なコメントありがとうございます。

たしかに日本が本当の戦後の復興と言うには「憲法改正」は必須ですね。
国家の基本的機能である安全保障をどうするのか?という話。
シンプルに考えるのなら「防衛戦争はOK」で「侵略戦争はNG」とするような基本的な考え方で良いと私は思います。

そうすると「北朝鮮がミサイルに燃料を注入し始めたらどうするのか?」
発射する前に基地を先制攻撃するのは侵略戦争か?とか言う奴が現れる。
そういう話にちゃんと向き合わなきゃいけない。

あとは「海外派兵をどうするのか?」のガイドラインが必要でしょうね。
今や、国連第一主義なんていう古風な主義を捨てて、国際社会の一員としてのきちんとした見識を持たねばならない。
どっかの中立組織が言うことに追随するのが楽な道ではありますが、そんな組織は存在しないのだから仕方が無い。
見識を持つには、きちんと情報収集をして、きちんと分析ができないといけない。

なんて、この話を展開し始めると、このネタだけでブログが何本か書けてしまいそうなので、ここではこの辺にしておきます。
この話題は、いずれゆっくりと。。。